大家さんの悩み ~建物明け渡し(執行編)~

Q 賃借人が賃料を6ヶ月も滞納しながら、ほかに行く所がないと開き直り出て行こうとしません

A 鍵などを変えて、無理やり賃借人を追い出すことは自力救済といわれ、禁止されています。不法行為となり損害賠償責任を負う場合もあります

Q すぐに出て行くという賃借人と交わした念書を持っていますが

A 念書は確かに、賃借人が出て行くということを約束したことを証明する書面ですが、強制的に出て行ってもらうことはできません。裁判で念書を証拠として提出し判決をもらう必要があります
Q 公正証書というものがあり、判決と同じという話でしたが、これがあればできますか

A いいえ。公正証書は単純な金銭返済などの場合には裁判と同じく、強制執行の根拠となりますが、建物明け渡しの場合には根拠となりません。

Q 裁判する前に、裁判をせず強制的に追い出すことができる書面を作成する方法はないのですか

A 即決和解という手続きを経て、和解調書を作成すれば、執行力がある書面を作成できます

Q 手続きとは

A 即決和解とは、示談ができている場合に、簡易裁判所に申し立て、合意内容の和解調書を作成する手続きをいいます

Q 裁判ではないですか

A 裁判所で行いますが実質的には、合意に至っている内容を裁判所が確認して、文書を作成するという点で、対立する者が争う裁判と違います。合意に至っているので、簡易裁判所に1回行くだけです

Q この即決和解手続きがあれば、いつでも相手を追い出せるのですか

A あくまでも、今後お金を払わなかったら出て行くとか相手と合意がある場合に即決和解手続きは使うことができます。従って、任意に出て行ってもらえないときには、やはり通常の裁判を通じて明け渡しを求めていく必要があります

弁護士法人 アクティブイノベーション 横浜事務所所長 片山 栄範

(東京新聞TODAY 2010年6月25日号より)