Q 1年半前の更新時に払った更新料は、無効な契約だから、返還しろとの請求も受けています。
A 更新料についても高等裁判所レベルで、無効とする判例が出ています。ただ、まだ最終的な最高裁判所の判断はされてはいません。
Q 今後、更新料は受け取れないのでしょうか?
A 今までのように、単に契約書に更新時に更新料1ヶ月分を支払う旨の記載があっても、請求することは、できなくなっていくと考えられます。
Q 更新料を支払わなかった場合には、賃貸借契約を解除して出て行ってもらうことはできますか?
A 建物賃貸借契約の契約期間満了時に、更新料を支払わず更新契約をしないとしても、法律により「それまでの契約と同じ条件で契約を更新した」とみなされますので賃貸借契約を解除して追い出すことはできません。
Q 更新料は一切受け取れなくなるのですか?
更新料について否定した判決も、賃料の前払いとして受け取る更新料についてまでは無効としていません。
従って、更新料が賃料の前払い的な性質を有した金銭である旨を明らかにすれば、今後も賃料一月分程度の更新料を受け取ることができる可能性があります。
ただし、あくまでも賃料の前払いである旨を明示することが最低限必要です。また、更新料があるから月額の賃料がその分低額になっていることも明らかにしていく必要があります。
このように、契約書の条項を工夫することや、的確な説明をしていく必要があります。
Q 過去10年間に受け取った5回分更新料の返還を求められています。過去の更新料を返還を求められる可能性がありますか?
A 更新料支払い契約が無効となった場合には、支払った更新料を不当利得として返還請求できます。その場合には、10年の間は時効にならないので、過去10年にさかのぼって返還する必要が出てくる可能性があります。
弁護士法人 アクティブイノベーション 横浜事務所所長 片山 栄範
(東京新聞TODAY 2010年7月23日号より)