借地借家の法律相談 vol.1

Q 転勤することになり自宅を転勤期間だけ他人に貸したいのですが
A 普通の借家契約だと賃貸期限が到来しても更新拒絶が出来ず(借地借家法28条で正当事由が必要)、明け渡してもらえない可能性があります。期限に確実に明け渡してもらうためには定期借家契約を締結しておくのが最も良い方法です。一時使用の賃貸借契約を締結する方法は一時使用であるかどうかが争いになることがありますので、定期借家契約が確実な方法です。定期借家契約を締結するには、あらかじめ契約の更新がなく期間の満了により契約が終了することを定めた書面を借主に交付して説明する必要があり(同法38条2項)、貸主がこの説明を怠ったときは定期借家としての効力が否定されます(同条3項)。そこでこの書面の交付を受けた旨の受領書を借り主からとる必要があります。契約は公正証書などの書面ですることが要求されており(同条1項)、借り主に対し期間満了の1年前から6ヶ月前までに期間の満了により建物の賃貸借が終了する旨の通知をしなければなりません(同条4項)。この通知は後日の争いに備えて、内容証明郵便にしておきます。期限がきても双方が合意すれば再契約で新たな期間を設定できます。また床面積が200㎡未満の場合には借り主にやむを得ない事情が発生しその住宅に住み続けることが困難となったときには、借り主から解約の申し入れができることとなっています(同条5項)。

photo.jpg弁護士 高柳 馨
(東京新聞TODAY2009年1月23日号より)